第2世代さらには第3世代のシーケンサーの登場によって、生命現象の時間の流れの中で、生命現象のあらゆる階層において、大量の配列情報を入手できるようになりました。こうした大量かつ多層かつ時系列の配列情報と、細胞を構成し細胞の内外で機能するタンパク質の情報を統合していくことで、ヒトをはじめとする動植物・微生物の中で起きている生命現象をより精密に理解することができるようになります。ひいては、医療、食糧、環境に飛躍がもたらされます。本プロジェクトでは、革新的な解析能力を持つシーケンス拠点,データ解析拠点,タンパク質解析技術開発拠点で構成する研究環境を構築し、その中で、遺伝子発現制御,シグナル伝達,代謝制御,細胞機能などについて従来なしえなかった大規模・多面的な解析手法を駆使して,細胞・生命プログラム解読に挑み,ライフサイエンス研究基盤を飛躍させることを目指します。
また,平成22年6月18日に閣議決定された「新成長」実行計画(工程表)科学技術立国戦略の「基礎研究の強化とイノベーション創出の加速」において,「創薬・医療及び概要技術支援基盤の構築」が示されたことから,タンパク質解析技術開発拠点を創薬等支援技術基盤プラットフォームとしてプロジェクト外にも広く活用されるように展開します。
img002.png img003.png
生命現象を理解する鍵は、タンパク質の立体構造(かたち)と機能(はたらき)が握っています。したがって、タンパク質に関する知識は、医薬開発のみならず、食品や環境といった産業分野のける応用にも直接つながることから、米国、欧州をはじめ世界各国で国家的な取り組みが行われています。
我が国においては2007年7月から「ターゲットタンパク研究プログラム(TPRP)」を5ヶ年計画で実施しています。TPRPでは「タンパク3000プロジェクト」などで蓄積された構造生物学上の成果や整備された基盤を最大限に活用しつつ、現在の技術水準ではなお解析が困難であり、学術研究や産業応用等に重要と考えられるタンパク質を主要ターゲットに選定して、それらの構造・機能相関の解析やそのために必要な技術開発を行うことを目的としています。
TPRPでは発足してから3年余りの2010年8月までに、難易度の高いタンパク質200種以上の構造を解明しました。また、単に「かたち」を決定しただけではなく、例えば、細胞内の巨大で複雑なタンパク質分解装置“プロテアソーム”が形成される仕組みの解明、植物の自在な生長調節を可能にする『第2の緑の革命』の起爆剤にもなり得るジベレリン受容体の解明、アフリカで蔓延している深刻なトリパノソーマ症の病原体“トリパノソーマ原虫”の生育を特異的に阻害するジヒドロオロト酸脱水素酵素阻害剤の分子設計など、タンパク質の「はたらき」についても、国際的に優れた成果を生み出しています。
2004年度から2008年度まで実施されたゲノムネットワークプロジェクト(GNP)では、ヒトの遺伝子やタンパク質のネットワークを解明し、得られた成果をデータベースとして整備し て、発生、免疫など生命現象の研究、また、がん、糖尿病など病気の治療法の開発に向けた研究に取り組みました。革新的細胞解析研究プログラム(セルイノベーション)は、ゲノムネットワークプロジェクトから得られた成果や、機器・設備、人材、データなどを活用しつ つ、これまでなしえなかった大規模かつ多面的なゲノム関連情報の解析を、革新的なデータ産出能力をもつ次世代シーケンサーを利用して行うとともに、細胞内 のようすを描き出すイメージングなどの手法も駆使して、ゲノムサイエンスの観点から、細胞を舞台とした生命のしくみを解読することをめざしています。

細胞プログラムの解析により、さまざまな疾患について、発症メカニズムの解明と、新たな予防法、診断法、および治療薬創出等の治療法開発に 向けた基礎的知見・技術の提供が可能になります。また、このプログラムで構築したシーケンス・解析拠点などの基盤設備を大学や企業などのライフサイエンス研究者 に広く公開することにより、幅広い研究分野への波及効果が期待されます。

h_role.png

ライフサイエンス分野の技術的進展はすさまじく、特に,従来型と比べて桁外れの処理速度をもつ超高性能次世代型シーケンサーが現実となり,ゲノム,RNAなど細胞内情報の網羅的計測に極めて有効であることが明らかになってきました。一方で、その結晶化や構造解析が困難であり長時間を要するとされてきたタンパク質の構造と機能も、生産、解析、化合物による制御各分野の要素技術の発達とシステム化によって、より短時間で解明されるようになってきました。すなわち、設計図である配列とその製品であるタンパクのデータが、解析能力を超える速度で蓄積されていく勢いです。したがって、今後の生命科学研究の鍵は、データ・情報・知識を蓄積、評価、活用するインフォマティクスにあります。米国、欧米、中国をはじめ,各国では,データのtsunamiを制御・活用して、人の健康・福祉の向上,食料生産技術,バイオエネルギー開発などの広範な発展をもたらそうと激しい国際競争を繰り広げようとしています。
このため、革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブにおいても、ターゲットタンパク研究プログラムにおいては情報プラットフォームを、セルイノベーションではデータ解析拠点をプロジェクト発足当時から設けて、研究情報の拠点とし、また、情報の融合を図っていきます。
Fig_001.png

TPRP情報プラットフォームとは bCIPデータ解析拠点とは

h_role.png

 2011.04.13
TPRPとCIPの共同論文発表
「Estrogen Regulates Tumor Growth Through a Nonclassical Pathway that Includes the Transcription Factors ERβ and KLF5」 Y. Nakajima, K. Akaogi, T. Suzuki, A. Osakabe, C. Yamaguchi, N. Sunahara, J. Ishida, K. Kako, S. Ogawa, T. Fujimura, Y. Homma, A. Fukamizu, A. Murayama, K. Kimura, S. Inoue, J. Yanagisawa Sci. Signal. 2011 Apr 12.
[TPRP] 筑波大学大学院生命環境科学研究科 代表研究者:柳澤 純
課題「核内レセプターの新規機能解析と構造情報に基づいた線維化疾患治療法の開発」
[CIP] 東京大学 大学院医学系研究科 代表研究者:井上 聡
課題「次世代シーケンサーを活用した前立腺がんと乳がんの細胞制御システム機構の解明」
2010.07.21
Natureが、米国PSI第3期は、「難しい、重要な」タンパク質に取り組むことを報じ、併せて本プログラムも紹介
2010.05.31
たんぱく質ー化合物相互作用データベース公開のお知らせ
2009.12.28
セルイノベーションプログラムデータ解析拠点ポータルサイト公開

お問い合わせ先

E-Mail
推奨ブラウザー : IE7以上、Firefox 3.6以上、Safari 5以上
ホーム ご挨拶 背景と目的 情報拠点の役割 お知らせ お問い合わせ先
TPRP TPRP Service セルイノベーションプログラム セルイノベーション